私たち夫婦は、私が22歳、夫が23歳で結婚しました。
初めから目が見えない二人で暮らしています。
子供の頃から料理にあまりというか全く興味がなかった私は、
ぶっつけ本番という感じで、結婚してから日々食べるため、生きるために料理し始めました。
小学校に点字や視覚障害についての授業に行くと、
「目が見えなくて料理はできるんですか?」と聞かれることがあります。
『目が見えない』と聞くと、
何もわからない、何もできない…のように思う方も多いと思いますが、
例えば野菜は、形や触った感触で区別がつきます。
お肉や魚は置いた場所や、パックを重ねた順番を覚えておいて、自分でわかるように管理しています。
以前は、
何のお肉かわからなくなった冷凍したパックは、
トレイの厚みで触った感触の勘に頼るか、
長女が学校から帰るのを待ったりしていました。
最近はiPhoneの読み上げアプリで
お肉のパックのシール部分をカメラでかざすと
商品名や賞味期限など読み上げてくれるのでかなり便利になりました。
それでも、ビニール袋などに小分けしたお肉は、
凍ってしまうと触って感じ取ることが難しく、
鶏モモ肉だっただろうと回答したら豚ロース肉だったり、失敗することもあります。
結婚してから10年間、夫は自宅で鍼灸マッサージの治療院を開業していました。
ですので、朝・昼・夕、毎食食事を作らなければなりませんでした。
結婚当初はレパートリーが本当に少なく、パスタと野菜炒めが繰り返されたこともありました。
夫には迷惑をかけていたと思います。
お昼によく、御飯とお味噌汁の塩サバ定食を食べていたのも懐かしいです…
現在、主婦になって21年。母になって18年です。
徐々にいろいろできるようになりました。
揚げ物はしませんが、割となんでもやっていると思います。
切り干し大根やヒジキも作れるようになりましたし、
鶏ハムもちょっと面倒ですが作ったりします。
冷蔵庫に材料がなんでも揃っている日は、料理がとても楽しいです。
初めてチャレンジする料理はいまいちの出来だったりしますが、
その時の感覚を忘れていない2・3日内にもう一度作り、
100点に近い、満足の出来上がりになるまで2・3日ごとに作りたくなります。
3回目くらいで感覚が掴めることが多いですね。
うまく出来たらもう一度確認のため作り、自分のものにする感じでしょうか。
以前はガイドヘルパーさんとよく買い物に行っていて、
「このお肉(魚)はどんな料理に使われますか?」と質問したりして、
教えていただいたことを試したりしていました。
おいしいと薦めてくださるレシピなので、早く成功する確率も高いです。
目が見えないと、できることとできないこととありますが、
できる範囲でがんばるようにしています。
最近は使いたい材料の名前を入れてネット検索をして、
でてきた簡単でおいしそうなレシピで作ったり、
YouTubeでみつけた料理動画を観ながら参考にすることも多いです。
あまり好きではなかったオムライスやナポリタンも、YouTubeを見ておいしく作れるようになりました。
[YouTubeの参考ページ]
昨年から数えきれないほど繰り返し作っている豚汁
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