全盲母でも絵本の読み聞かせ

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我が家の長女と次女は

本を読む娘たち

に成長しましたが、

目が見えない私が、どのように絵本の読み聞かせをしてきたか書いてみます。

長女が保育園の頃から

『楽しい子育て絵本講座』というメールマガジンを読んでいて、

子どもには絵本をたくさん読み聞かせた方がいいと知ってはいました。

しかし、見えない私が子どもに絵本を読んであげるのは容易ではありません。

長女の子育ての時は、保育ボランティアの大学生に手伝ってもらって点字の絵本を作りました。

作業としては、

絵本の文章を読んでもらう。

翌週までに私が透明の点字シールに文章を書く。

ボランティアの方にハサミで切ってもらい絵本に貼ってもらう。

完成した絵本の点字をすらすら読めるようにとにかく練習する。

1冊作るにもかなりの手間と時間がかかっていました。

完成した絵本は、40冊程あったでしょうか。

ほぼ暗唱できるくらいにならないとすらすらは読めません。

1ページに1・2行程度の絵本は読みやすいですが、

5行程になるとなかなか難しかったです。

そのうちに長女が一人で読めるようになったので、市の図書館で借りて与えていました。

本当は

字が読めるようになっても親が読み聞かせてあげた方がいい、

読んでもらうのと自分で読むのは違うそうです。

そうだろうなと思います。

やっと文字が読めるようになって読む絵本は、

子どもは絵を楽しむことはできませんよね。

長女が小学3年生の時、PTA 一人一役のアンケートに、

「全盲のため、どの委員ができるか分かりませんが、できることはやらせていただきます」

と書きました。

後日、

「絵本の読み聞かせ委員になってもらえませんか」と役員さんからお電話をいただきました。

読み聞かせ委員というのは、

月に一回、朝自習の10分間、担当クラスで持参した絵本を読みます。

実際引き受けてみると、

レパートリーが少なくても、毎月違う学年・違うクラスに行くので割と大丈夫でした。

『ぷっぷと すなばの おともだち』

『おかあさんの たんじょうび』

『みんなが おしえて くれました』

『いのちは みえるよ』

『こうてい ペンギンは なぜいきのこったのか』

点字に書き起こしたこの5冊程で、3年間読み聞かせ委員をさせていただきました。

各教室で、

同行してもらったガイドヘルパーさんに絵本を持っていただき、

私は隣で点字で書いて行ったノートを読み聞かせました。

長女が小学5年生の夏に次女が生まれたことと、

寒い時期になると手がかじかんで点字を読むのが辛くなることもあり、

その年を最後に読み聞かせ委員はやめました。

次女が2歳になる頃、やっぱり子供に絵本を読んであげたい気持ちが強くなりました。

でも、できるとして全盲の私には長女の時のように、

がんばっても赤ちゃん絵本までくらいしか点訳も暗唱も無理だとわかっています。

たくさんの絵本を読み聞かせたい

点字の絵本を作る作業は大変

作った点字をすらすら読むのはまた大変

絵本を読んであげたいのに、読んであげられない…

母親として、やってあげたいのにやってあげられないことにどうしようもなく悶々としていました。

丁度その頃、夫が東京へ出張へ行き、

i-penという視覚障害者の便利グッズを使って子供に絵本を読んであげている人の話を聞いて帰ってきました。

i-penというのは、シールとICレコーダがセットになった製品です。

1センチ角のセンサーのシールをページごとに貼り、そこにi-penのペン先を充てると、事前に録音された声が再生されます。

それまでもi-penという商品があることは知っていましたが、

点字の読み書きができない視覚障害者がCDなどに貼って、

タイトルやアーティスト名を録音して管理するための商品だと聞いていましたので、

絵本に貼るという発想はありませんでした。

夫にお願いしてすぐに購入し、

点字ではない、音声の絵本作り作業を開始しました。6年前のことです。

シールは、全てのページの右下角に貼ると決めました。

場所を決めないと、ページごとに『シールを探す』という手間ができてしまうからです。

様々な、あらゆるやり方を試した結果、

一番速く作れるのは、

絵本を読むのが上手なホームヘルパーさんに読んでもらった録音をイヤホンで聴きながら、

ほぼ同時進行で私が追いかけながら声に出して読んで、

それをi-penに録音するというやり方でした。

これができるようになってから、

少し長い絵本も収録できるようになり、

音声のシールを貼った私の声が録音された絵本は

270冊ほどになりました。

次女と、毎日5冊でも10冊でも絵本を楽しめる、夢のような時間を過ごしました。

視覚障害があるお母さんで子供に絵本を読んであげられなかったという話はよくあることだと思います。

i-penを活用して絵本の読み聞かせをすれば

親子共に視覚障害のご家庭、

視覚障害のあるお子さんが一人でも絵本を読みたい時、

親が聴覚障碍者で子供に絵本を読んであげられない場合、

また、私がお風呂に入っている時におっとと次女がi-Penで読んでいたように、

お父さんが視覚障碍者という場合も、お子さんと絵本を楽しめるんじゃないかと気づきました。

今ではi-penで次女と絵本を楽しんでいた頃が懐かしいです。

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