視覚障害者にとって、信頼できるスタイリスト的な存在がいること

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先日、私の母と、洋服を買いに出かけました。

16歳の時に全盲になった私は、
大人になった今でも、洋服は必ず母と買いに行っています。

母がかなりの洋服好き、おしゃれ好きなので、
そのセンスを借りて見立ててもらいます。

行く前に
「何を買いたいの?」と聞かれ、

伝えると
そのアンテナを立てた母が、良さそうなものを見つけて教えてくれます。

今回の私の目当ては

最近はロングスカートにパーカーを着たりするのですが、
その時に着るアウターがない。

なので、
『フードを出せる、スカートにも合うアウター』

それと、
まだやせきれず、スリムなパンツがもう似合わない感じなので

『似合う形のパンツがあれば』
でした。

長女は
毎朝毎朝仕事に着て行く服がないと言いながら、
仕事帰りに一人で洋服を眺めに行っても買わずに帰ってくることが多いので、

『仕事に来て行ける上下』と
『お友達と遊ぶ日にも着られる服』
でした。

次女は年末に数着買ったので、今回はついて来るだけです。

大きなショッピングモールで
容赦なくスタスタと歩く母について行けば

私たちに良さそうな服を
目につく度に次々見つけてくれます。

何軒ものお店で
長女と二人で試着室に入りフィッティングしている最中も、

お店のお姉さんと母が話しながら
いくつも見つけて持ってきてくれます。

母が、似合う、似合わないをはっきり見極めてくれるところが助かります。

もちろん、「似合ってる」と言ってもらえたとしても、
自分が気に入らなかったり着こなせる自信がないものは買わなかったりします。

実際今回も、
若くて、162センチ、たったの50キロの長女は
細身のパンツも少しワイドのパンツも、なんでも似合うと言われていましたが、
まだ本人のストライクゾーンが狭いので気に入らなかったものがいくつもありました。

気に入らないところがあったら、せっかく買っても長女は本当に着ないので、
いまいちっぽい反応の洋服は私も購入を勧めませんでした。

ほめられるまま素直にストライクゾーンを広げている私は、
理想的なアウターと、ブルーのようなグリーンのようなというセーターを購入。

私に似合うパンツには、残念ながら出会えませんでした。
「まず、やせなさいね」と言われました…。

長女は、仕事に来て行けるようなセーターとパンツをいくつか購入。

洋服を見つけたり見極めたりしてくれる時の母は、
なんだか神がかっているように見える時があります。

鏡が見られない視覚障害者の私は
自分にはどんな色が似合うのか、どんな服が似合うのか、自分で確認することができません。

その代わり、
自分が着ている服をほめられたり
似合っていると言ってもらえたり
子どもに着せていた服を「誰が選んでいるんですか?」とほめられたりしてきたことで、
母のセンスを信頼しているのだと思います。

鏡は見えないけど、
着た感じで自分にしっくりくるとか違和感があるとか、感じられる部分もあります。

普段、長女に一緒に歩いてもらうことも多いので、
母はいいと言ってくれたものでも
長女からの「それは派手すぎるからやめた方がいい」などの意見も聞き入れるようにしています。

攻めたおしゃれはできませんが、
目が見えていなくても、やっぱりメイクもお洋服も楽しんで、
ある程度はきれいにしていたいんだよなと思うのです。

以前、ある視覚障害者の女性から、お買い物方法を聞いたことがあります。
その方はガイドヘルパーさんとお洋服を買いに出かけるそうなのですが、
自分に似合う服を選んでもらうのはプロであるショップの店員さんにお願いをして、
試着後、似合っているかどうかは、店員さんではなくガイドヘルパーさんの意見を聞くとのことでした。

店員さんは、何を着ても「とても似合っている」と言われるからとのこと。

なるほどぉ。

今日の内容、
誰かに見てもらう
誰に見てもらう
というのは、
私たち視覚障害者にとって、共通する課題だと思います。

信頼できるスタイリストが身近にいて、本当に助かっていると感じた一日でした。

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