親切の押し売りは・・・いらない

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夫に、知り合いの視覚障害者の方から相談の電話がありました。

その方は中途失明された50代の男性で、

ここ数カ月、
出勤のためバスを降りると一人の男性が待っておられ、
職場までの道を誘導してくださるのだそうです。

相談者の男性は白杖を使って一人で通勤ができる方です。

出勤前に一つ手前のバス停で降りてゆっくりコーヒーを飲んだり
自分の時間を大切にするライフスタイルの方です。

それなのに毎朝のように降りるバス停で待っていて、
待ってましたと言わんばかりに
「職場まで案内しますよ!」
と声をかけられるそうです。

親切心だろうけど
待ち伏せをする男性のことがストレスになっているとのことでした。

誘導の仕方もご存じないようで、
肩をガシッと組まれ、べったりと親しげに誘導しようとするので、

誘導はそうするんじゃないと、距離をとって説明するそうです。

朝の時間は本当は一人で楽しみたいけれど
強く拒絶することもできず、とても悩んでおられたとのこと。

ストーカーの被害を受けているような気分かもしれませんね。

その話を聞いて、私は思いました。

うちの夫は一人でどこへでも行きます。

コロナ禍前は
仕事の出張やスキルアップの研修などで東京でも大阪でも京都でも一人で出かけていました。

例えば
空港まではタクシーで行き、
カウンターで誘導をお願いしたいことを伝え、機内まで案内してもらいます。

羽田で降りたら
空港のスタッフにモノレール乗り場までお願いして
モノレール乗り場のスタッフに乗せてもらい
降りた先のスタッフにリレーみたいな感じで行く先の近くまで支援を受けて行きます。

普段も一人で白杖を使って歩いています。
通勤も買い物も、習い事の合気道もです。

外では夫もいろんな人の支援を受けるようですが、
イヤな人に会って困っているという話は聞いたことがありません。

想像してみました。

白杖を使って一人で歩く夫が
強引な親切人に支援の提案をいただいたら・・・

夫は必要なければしっかりとお断りをしたり距離を取るだろうなと思いました。

相談者のように
「食事して行くので…」と言って
「自分も一緒に行きますよ」と言われお店までついて来られたとして

夫は
「今の時間にしないといけない仕事があるのですみません」
と、お見せでもイヤホンを着けたりして一人の時間を確保する気がします。

もし、私が仕事をしていたとして
通勤時に同じように誰かが私を待っていると感じたら、

それが男性ならもちろん恐いですし、
女性だったとしても苦痛に感じて仕事を辞めたくなるかもしれません。

母などに頼んでしばらく職場まで付き添ってもらうとか、
声をかけられないよう、あきらめてもらえるような対策を考える気がします。

夫は相談者の男性に
自分だったら、しばらく朝のコーヒータイムをあきらめて
その人に会わずに済むように職場前のバス停で降りる。
とにかく距離を取る方向で考える。
など話をしたそうです。

かなりストレスに感じておられ、辛そうだったとのこと。

私たち視覚障害者は一般の方に比べ支援を受ける機会が多いと思います。

お世話になることが多い分、
ありがたいと感じる支援と
「障害者を助けている」と思い込んでおられる自己満足のようなケースと、あるような気がします。

視覚障害に関わらず、
人とのコミュニケーションの時は

相手の気持ちを汲み取って
相手の人権、人格を尊重した上で「このようにすると相手にも喜ばれる」という視点で関わることが大切なのかもと感じた出来事でした。

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