盲導犬の体験(前編)

スポンサーリンク

もう4年前のことになりますが、
盲導犬との歩行を体験し、しばらく真剣に考えた時期があります。

全盲の私は、盲学校を卒業してから結婚するまでの期間に盲導犬の訓練を希望していましたが、タイミングが合わず受けることはできませんでした。

盲導犬の貸与を受けるには、4週間の泊まり込みの訓練が必要です。

希望を出していましたが、訓練にどうですかと連絡があったのは、
1度目は結婚式の頃、2度目は長女を妊娠中で、ご縁がありませんでした。

当時は残念に思いましたが、子育てが始まり、
数年後にはガイドヘルパー制度を知り外出は楽になりましたので、
盲導犬のことは忘れて暮らしていました。

盲導犬ユーザーの先輩方に会う機会があると、
お利口さんな動物大好きな私は何度か撫でさせてもらったことがあります。

体験談を聞くことはあっても、実際にハーネスを持って歩いたことは一度もありませんでした。

2017年、掛かりつけの眼科で盲導犬と歩く体験会が企画され、ただただ楽しみに夫と参加しました。

来ていたのは、まもなく盲導犬となるリッカちゃん(1歳)と、PR犬のヤンくん(3歳)。

希望者は病院周辺の体験歩行があり、訓練士の方が横についてくださり歩きました。

盲導犬との歩行は、とても不思議な感覚でした。

白杖も持っていない、ガイドヘルパーさんの腕も握っていない、
リッカちゃんと繋がるハーネスを握り、見えない私が一人で道を歩く。

これまでに感じたことのないような気持ちの良さ、広がるようなのびのびと感じる空間でした。

そしてリッカちゃんは段差があると必ず止まってくれて、安心感を与えてくれました。

この体験会に参加したことで、
3か月後、九州盲導犬協会から一泊二日の宿泊体験へのお誘いがありました。

まだ3歳だった次女を連れて行くのも大変だろうし、預けて行くのも難しい。
「夫婦で行きたい気持ちはあるけれど…」と迷っていると、

「子供さんたちにも盲導犬がいる生活がどのようなものか知っていただきたいので、
ご家族みなさんで来られませんか」とのお誘い。

私たちは家族で福岡県糸島市にある九州盲導犬協会に出かけ、
もうすぐ盲導犬になるロダンくん(2才)と2日間過ごしました。

トイレ、ブラッシング、御飯など、歩行訓練以外のお世話もさせていただきました。

会ってすぐは、私たち4人の匂いをすごい勢いで嗅いでいました。
どんな人なのかを覚えているのだそうです。

しばらく匂いを嗅いだ後は、すぐに慣れてくれて、一人ずつの歩行。
その後、ロダンと歩く私に夫がついて歩く『タンデム』の体験もすることができました。

民家の前を通った時、3匹ほどの犬が激しく吠えてきたのですが、
ロダンは落ち着いて歩き続けただけでなく、見向きもしない様子だったのには感動しました。

2日間ロダンが一緒に歩いてくれて、既に愛着が湧いてしまった私。
盲導犬を申し込みたい気持ちになりました。

このままロダンと暮らしたくなっていました。

『一人で外出ができるようになる』
というのはもちろんですが、
かわいくてかわいくて、たまらなく癒されている私がいました。

…長くなったので後編に続く。

コメント

タイトルとURLをコピーしました