私は視覚障害者・全盲なのですが、
『目が見えない生活』というと、どのようなものを想像されるでしょうか。
最近小中学校では「障がい者・福祉」などの授業も行われるようになっているようで、
私も次女を出産する前の数年間、
総合などの授業に行って、点字
や
について話をしていました。
そこで、子供たちから色々な質問を受けます。
Q:料理はどうやっていますか?
Q:車の運転はどうしているんですか?
A:さすがに目が見えないと車の運転はできないので、ガイドヘルパーさんという一緒にお出かけしてくれる方と買い物や病院に行っています。移動は歩きかバスです。
(これは低学年から出る質問です。お家に車がないなんて、親が運転できないなんて、本当に不思議そうな感じで聞かれます)
Q:新聞は読めるんですか?
A:紙の新聞は読めません。パソコンやスマホを使ってネットでニュースや天気予報を読むことができます。
何ができて、何ができなくなるのか。
目が見えなくて、私がやっていること、やってきたことをいくつか書いてみます。
料理については、先日書きました。
~掃除~
汚れているところが目に入ってそこだけをきれいにするということはできませんので、
常に全体的に掃除するということになります。
コードレスの掃除機を使う時もありますが、
や昔ながらのほうきで
一部屋ずつ一方向に掃きながらゴミを寄せて
端に集めたゴミを掃除機で吸ったり手で拾い集めたりします。
~洗濯~
液体の洗剤が出た頃、チャレンジしてみましたが、
キャップで量を測るのは難しく、溢れていつもドロドロになっていました。
無印良品のポンプに詰め替えてプッシュする回数で覚えて使ったり、
また粉洗剤に戻したりとやってきました。
今年の4月に
で買って試してみたジェルボール。
どうしてもっと早く使ってみなかったんだぁ!と自分を責めてしまいました。
笑えるくらい手軽で使いやすいです。もうやめられません。
視覚障害者はみんなジェルボールを使うといいと思います。
洗濯機のボタンには今はほとんど点字表記がありますね。
操作は、ボタンを押す順番や回数を覚えています。
時々使うおしゃれ着洗いはコースボタンを4回、毛布洗いはコースボタンを5回などです。
お風呂の残り湯を使うか使わないかは、
風呂ボタンを押して「ピピッ」か「ピッ」という音の違いで判別できます。
洗濯機を回して、干すのは簡単です。
長女が成長して、乾いた洋服の区別がわからないものも出てきました。
最近は長女のビッグTシャツと夫のTシャツの区別が難しいです…
靴下のペアを合わせるのはわかる分だけ自分でやって、わからない物は以前から娘たちに手伝ってもらっています。
~アイロン~
なるべくかけずに済ませることが多いですが、一応できます。
ワイシャツなどの細かいところは難しいので、大体のところでやっています。
結婚当初からコードレスのタイプを使っていて、動かしやすくて便利です。
~パソコン・iPhone~
画面読み上げソフトのおかげで、とても便利に使っています。
インターネットでお店や病院を検索したり、調べものができるようになりました。
20年前、結婚した当初は、よく実家の祖母に電話をして新聞のテレビ欄や天気予報を読んでもらっていました。
お店を調べるにも、祖母に電話してタウンページを見てもらったり、番号案内の104も頻繁に利用していました。
~裁縫~
古くなったタオルを雑巾に縫うのが好きです。
縫っていないと、雑巾になったのに間違えて洗濯機に入ってしまい気づかないうちにタオルに紛れてしまうことがあるので、区別するためにも必ず縫います。
2年前に入院した時、きっと暇な時間がたくさんあるだろうと
雑巾にするタオルと裁縫セットを持って行き、
15枚程楽しく縫いました。
子どもの体操服のゼッケン付けは無理なので、毎年私の母にお願いしています。
自分の中で
目が見えなくて『工夫したりがんばればできること』と
『がんばっても難しいこと』がはっきりして、
できることは自分でやって、
できないことはきっぱりあきらめて適切な方にお願いする
という当たり前のことを理解し受け入れてからは、
心の負担も減り、周囲との付き合いがとても円滑になったと思います。
コメント